新型コロナウイルス 「未感染者の半数、すでに免疫?」との報道

1.読売新聞オンラインの報道

5月19日の読売新聞オンラインで

「【独自】未感染者の半数、すでに免疫?・・・他のコロナウイルス感染の経験影響か」との見出しの報道がありました。

(【独自】とは読売新聞単独報道の意味でしょうか)

その記事の重要部分を引用いたします。

 

新型コロナウイルスにまだ感染していない人の約半数が、すでに免疫を一定程度持っている可能性があるとする研究結果を米ラホイヤ免疫研究所の研究チームが近く米科学誌セルで発表する。過去に他のコロナウイルスに感染した経験が影響したとみられている。」

「研究チームは、流行が始まる前の2015~18年に米国で収集された20~60歳代の保存血液20人分を調べ、約半数から新型コロナウイルスを認識する免疫細胞「ヘルパーT細胞」を検出した。」

「ヘルパーT細胞は、「免疫の 司令塔」とも呼ばれ、ウイルスを攻撃する抗体を別の免疫細胞「B細胞」に作らせるなどの役割がある。研究チームは、風邪の原因となる通常のコロナウイルスに感染した経験によって、免疫系が新型ウイルスも認識できるようになる「交差免疫」が起きたと考えている。」

 

上記の内容から「未感染者の半数、すでに免疫?」との見出し報道となったと思われますが、もしこのことが事実ならば大変な研究結果だと思います。しかし、その後のネット情報をみると後追いで報道しているものはないようです。米科学誌に正式に発表されてからということなのでしょうか。

 

2.ラホイヤ免疫研究所とは

上記報道では、ラホイヤ免疫研究所となっていますが正確には米国カリフォルニア州にある La Jolla institute of immunology のようです(ラホヤ・アレルギー免疫研究所の訳もある)。日本の高名な免疫学者であった故石坂公成氏(妻の照子さんも免疫学者)も所長をされていました。現在も多くの日本人学者が研究所に参加しているようです。それだけ信頼の高い研究機関だと思われます。ただし、研究所がカリフォルニア州にあることから分析対象となった血液もカリフォルニア州民のものであった可能性があります。新型コロナウイルスによる死亡率が西海岸のカリフォルニア州東海岸ニューヨーク州の17分の1とはるかに低いので研究結果が米国の平均でない可能性もあります。

 

3.この研究結果が意味する重大性

米国で新型コロナウイルスの未感染者の半数がすでに免疫を保有しているという研究結果が正しければ、感染者と合わせてすでに集団免疫に近い状態になっているとも考えられます。また、日本やアジアではさらに多くの未感染者がすでに免疫を保有しておりそのため感染率や死亡率が欧米に比べてはるかに少ないと考えることができるでしょう(私の過去記事を参照してください)。この研究結果の意味するものは今後の新型コロナウイルスの対策にも当然大きな影響を与えます。ともかく正式な発表や検証報道を待ちたいと思います。

 

 

aahhpp.hatenablog.com