日本は、交差免疫+ワクチン2回接種で集団免疫獲得か

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(本内容は2021年10月22日(金)までのデータを基にしている)

1.劇的な感染者の減少

日本における新型コロナの感染者の減少は劇的である。東京都の感染者は10月22日の金曜日は、わずか26名、8月13日の金曜日は最多の5773名だったので70日で0.45%までに激減した。東京都の感染者数はやがて1万人あるいはそれ以上になるといった予測も以前は行われていた。全国の感染者数も厚労省のまとめによると10月22日は345人と8月26日の2万4976名から激減している。(全国の数値は集計方法によりぶれがある)。陽性率も大幅に低下しているので検査不足が原因ではない。隣の韓国と比べても以前は人口比で日本は4倍くらいの感染者だったが現在は人口比で10分の1のときもあるといった状態である。

感染者の減少は鈍ってきたとの専門家の意見もある。確かに次の通常(非対数)のグラフを見ればそんな感じを受ける。

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しかしそれは誤りである。冒頭の対数化グラフをみれば少なくとも10月22日時点では減少スピードが大きく鈍っていることはない。このような状況を日本人は一時的にせよ集団免疫に到達したと見る専門家もいる。しかしその理由が今ひとつ説明できていない。

参考までに東京都の2020年3月からの感染者数グラフ(対数化)も載せる。まだ下げ余地があることがわかる。

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2.劇的な減少の理由

劇的な減少の大きな理由にワクチン接種の進捗があるのは確かである。10月22日時点の日本の2回ワクチン接種率は、首相官邸ホームページによると全人口に対する割合で68.6%、65歳以上の高齢者では90.3%といずれも相当高い値となっている。ワクチン接種の進捗が激減の大きな理由であるが海外ではワクチン接種率が日本を上回る国や同じくらいの国も多い。それらの国では重症化率は大幅に減少しているが依然としてかなりの感染者が出ている。アメリカは、現在2回接種率が56%くらいだが1日平均8万人ほどの感染者である。これは日本で3万人くらいの感染者が出ることと同じである。ワクチン接種率の高さだけでは劇的な減少を説明できない。筆者が2020年5月5日のブログで記述したように日本人は新型コロナに対する免疫を既にある程度有していたとみられる(学術的には交差免疫と考えられる)。詳細についてはそのブログを参照のこと(今では古くなってしまっている箇所もあるが)。

デルタ型の流行によってそのような免疫性は大幅に薄れたと思われたが、ワクチン接種によってその効果が復活したと考えられる。この免疫効果は日本だけでなく日本周辺のアジア地域にも存在する。10月22日の時点で台湾、インドネシアは新規感染者が大幅に減少している。但し、ベトナムやタイではピークからは減少しているがまだかなりの感染者が出ている。ワクチン事情などが影響しているのだろう。この交差免疫効果は遺伝的人種的な理由によるものではない。もし人種的なものだとしたらアメリカにはアジア系の移民もかなり存在するのにアメリカでアジア系の感染率が大幅に少ないとの報告が報道されたことはない。またこの免疫効果は隣の韓国では小さいようである(ワクチン接種率は日本との差はない。第1波(武漢型)のとき韓国は比較的感染者が多かった)。なぜ韓国では交差免疫効果が小さいのか、韓国には、東南アジアや日本にあるような中国人町(中華街)がない。筆者は新型コロナの祖先は元々中国にいた感染力の弱いコロナウイルスでありそれにかかることにより免疫ができたと考えているので中国人町がないことが理由の一つかも知れない。

結局、日本人は2回のワクチン接種者も過去の交差免疫を考えると実質的には3回接種したのとおなじことになる。これが日本で感染者の劇的な減少が起きた理由であろう。

この集団免疫状態はある程度の期間続くと思われる。一方、シンガポールのようにワクチン接種率が80%に達した国でもブレークスルー感染による感染者が多数出ている。ワクチンの効果が薄れてきたのと行動緩和が原因のようだが日本もそうなる可能性はある。やはり感染対策は今後も重要である。

参考までに今年の日本全国、アメリカ、韓国の新規感染者数(7日平均)のグラフ(非対数)を載せる。今後の感染動向に注目したい。

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