日本人は新型コロナウイルスに対する免疫を以前からある程度有している

 

1.新型コロナウイルス感染状況 アジアと欧米の違い

新型コロナウイルスは世界中で感染が増大しているが不思議なことがあります。それは、アジアの国であるタイ、ベトナムなどの東南アジア、韓国や日本で新型コロナウイルスの欧米のような大流行がないという点です。中国でも湖北省以外の死亡者は100人余りです。アジアの大都市で流行発祥の武漢は別にしてニューヨーク市のような状態になっているところは一つもありません。この原因について次のように考えられます。アジアの国では多分中国から今回の新型コロナウイルスの類縁にあたるコロナウイルスが以前から流入しており、それに対する免疫ができていた。その結果、今回の新型ウイルスに対してもある程度の免疫効果があり大流行には至っていない。

 

2.アメリカの感染状況 西海岸と東海岸の差

米国の新型コロナウイルスによる死亡者は東海岸ニューヨーク州は西海岸のカリフォルニア州と比較して人口比で17倍もあるとのこと。これの原因をニューヨーク州のロックダウンがカリフォルニア州のロックダウンより3,4日遅れたからと説明されていますが到底それだけでは説明できません。西海岸にはアジア人も比較的多く、アジアとの交流も東海岸と比較して多いはずです。このため新型コロナウイルスに対して多少の免疫を有しているのが東海岸と比較して死亡者の少ない理由と思われます。ニューヨーク州新型コロナウイルスに対する直近の抗体検査では12.3%が抗体を有し、発表感染者数の約10倍ですがカリフォルニア州ロサンゼルス郡の4月20日発表の抗体検査では住民の4.1%が抗体を有し、発表感染者数の28倍から55倍になるとの報道がありました。この倍率の差からも上記の理由が裏付けられます。

 

3. 児童の川崎病について

最近ヨーロッパで川崎病によく似た症状の児童が何例かでており新型コロナウイルスとの関連が疑われているとの報道がありました。川崎病は川崎富作氏が発見した原因不明とされる病気で日本やアジアで比較的見られるがヨーロッパではほとんど症例がなかったようです。上記のことから川崎病に関して次の結論が言えそうです。

1)  川崎病は、新型コロナウイルスの類縁のコロナウイルスが原因である可能性が高い。

2)  類縁のコロナウイルスは日本などに以前から流入していた。このことが日本やアジアで川崎病が多い理由である。それは、日本人やアジア人が新型コロナウイルスに対してある程度の免疫を有していることの証左でもある。

 

4.神戸中央市民病院の抗体検査について

神戸中央市民病院の抗体検査で3.3%(年齢補正をすると2.7%)が抗体を保有しておりこれは神戸市民4.1万人に相当するとの発表が5月2日にありましたが神戸市の発表感染者数の約160倍です。これはPCR検査で陽性にならないレベルのウイルス量の感染でも抗体を作れる人が多いということを意味すると思われます。粗雑な抗体検査キットだと新型コロナウイルス以外のコロナウイルスにも反応してしまうものがあるらしいですが神戸中央市民病院ではそのようなものは使用しないでしょう。年代別、男女別の詳細なデータも発表されていますがそれを基に計算すると20歳代までは0%、30歳代から60歳代までは、3.3%、70歳代以上は4.0%です。男女では差はありません。年代別では高齢者に抗体を有している人が多い結果となっています。一般に言われている若い人に無症状の感染者が多いというのとは異なった結果です。高齢者に抗体を有する人が多い、あるいは少量の感染でも抗体を作れる人が多いことが欧米のような万単位の死亡者が日本で出ていない大きな原因と思われます。

 

5. 神戸中央市民病院の検査結果に基づく最大死亡者数の計算

日本の5月3日時点の新型コロナウイルスによる死亡者は厚生労働省のデータによると510人です。これは神戸中央市民病院の抗体検査時の日本の死亡者数よりも多い数ですがそのまま使用しますと日本国民がすべて新型コロナウイルスに感染するとして死亡者数は、510人/0.027=18889人です。すなわち最大でも1万9千人くらいです。政府の専門家会議では欧米の感染率を基にして何も対策をとらなかった場合に85万人が重篤な状態になり40万人が死亡すると計算していますが過大な数字としか思えません。